パーキンソン病の新薬が増えている
パーキンソン病の新薬が続々と開発されてきているのをご存知ですか?
パーキンソン病は50〜65歳頃から発症することが多く、高齢になればなるほど発症確率は上がってきます。症状としては手足の震えや筋肉のこわばりなど運動機能に障害が出てきて身体が思うように動かなくなる病気です。放っておくと歩くこともできなくなり、食べ物を飲み込むことも難しくなるので健康寿命を大きく損なってしまいます。
高齢社会を迎える日本では、パーキンソン病治療薬の需要がこれまで以上に増えてくると予想されます。医薬品の世界では研究・開発が進められ、常に進化を続けています。パーキンソン病の治療薬も例外ではなく、近年では様々な治療薬が発売されてきました。
たとえば、2019年9月20日に発売されたハルロピテープは、パーキンソン病が進行して食べ物を飲み込むことが難しくなった患者にも使える貼り薬になっています。パーキンソン病治療薬の貼り薬はニュープロパッチという薬剤しかなかったため、治療薬の選択肢増えることになりました。
新薬で表れてしまうかもしれない副作用について
- 胃腸症状
- 眠気
- 立ちくらみ
- 幻覚
- ドパミン調節異常症候群
- ジスキネジア
パーキンソン病治療薬は脳に作用することから眠気や立ちくらみ、幻覚などの中枢神経に関係する副作用が多く出ることがあります。胃腸症状は脳とは関係がないように見えますが、食欲を司る部分や腸を動かす部分にも作用するために起る副作用になります。
ドパミン調節異常症候群やジスキネジアは聞き慣れない言葉でありますが、パーキンソン病治療薬に特徴的な副作用と言えます。
ジスキネジアは手足が自分の意思とは反して動いてしまう症状になります。持っていてものを無意識に投げてしまうということも起きてしまいます。
ドパミン調節異常症候群は、ドパミンが異常に放出されるためにギャンブルに依存してしまったり、性欲が異常に亢進する、むちゃ食い、買いあさりなど自分の衝動を抑えることができなくなってしまう症状です。
事情を知らない方がみると異常に見えてしまう行動を取っている場合は副作用の可能性があります。
パーキンソン病治療薬の治験を行った例
治療薬開発には治験というものが行われています。
治験は実際に健康な人や患者に治療薬の候補を使用して効果や安全性を確認する試験のことを言います。
アジレクトというパーキンソン病治療薬は日本国内で早期、進行期のパーキンソン病患者を対象として治験が実施され、有効性と安全性が確認されて世界50か国で使用されています。既存の同じ仕組みの薬剤であるエフピーに比べると不眠症、心臓障害などの神経障害のリスクが少ないことが特徴となっています。
国内の治験では副作用が半数近く発生していてますが、既存のパーキンソン病治療薬に比べて大きな問題がなかったため2018年6月11日に発売されることとなりました。
副作用としてはジスキネジア、吐き気や頭痛、眠気、幻覚、ドパミン調節異常症候群など従来のパーキンソン病治療薬と同様の副作用が確認されています。
治療薬以外にも治療法が模索されていて、京都大学において2019年にiPS細胞を用いた神経細胞を治験参加者の脳に移植した治験を行っています。現在のところは目立った副作用もないとのことで今後の経過が注目されています。
パーキンソンの新薬について
パーキンソン病治療薬は日夜開発が続けれ、治療薬の選択肢も増えてきました。
一時的に薬の効果が現れても徐々に症状が進行してしまう病気であるため副作用が出てもなかなか薬剤を中止することが難しいといえます。そのため治療薬の選択肢が増えることは患者にとってもいいことだといえます。
また、根本的な治療法が存在していなかったパーキンソン病ですが、iPS細胞の移植による治療法や核酸医薬品と呼ばれる遺伝子治療薬も開発が進んでいます。
核酸医薬品はパーキンソン病の発症に関わる遺伝子を抑制する効果があるため、パーキンソン病自体を起こさないようにすることが期待されています。
近い将来、パーキンソン病が難病ではなくなる日が来るかもしれません。
参考文献
パーキンソン病に第2の経皮吸収型ドパミンアゴニストが登場-日経メディカル
パーキンソン病と消化管運動機能障害(L-DOPA血中濃度との関連性)
パーキンソン病の治療-日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社