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医療大麻とは【知っておくべきTHCとCBDの違いについて】

医療大麻とは【知っておくべきTHCとCBDの違いについて】

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医療大麻とは

まず第一に、大麻とはなんでしょうか。厚生労働省のウェブサイトによると、「大麻とは大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品のこと」と定義されています。そして日本では薬物乱用防止の観点から、1948年に制定された大麻取締法で大麻原料(乾燥茎部や種子を除く)を含んだ医薬品を製造すること、さらには臨床試験等の研究も規制されています。参照した厚生労働省のウェブサイトからも分かるように、大麻草は「違法薬物」というイメージが根付いています。

しかし近年は、Medical cannabis またはMedical marijuanaという考えは主流となっており、欧米では様々な国が医療用大麻の使用を許可しています。また、現在は韓国やタイなどのアジア諸国でも医療大麻が使用可能になってきました。日本ではこのような医療目的で使用される大麻を、総じて「医療大麻」と呼んでいます。まだ少し「薬物」いうイメージが拭えていない様子もあります。

しかし重要なことは、医療用途で大麻を使用できる欧米諸国でも大麻草自体や粗抽出物は医薬品として認可されていません。医薬品として認可されているのは、大麻から抽出された化学物質であるcannabinoids(カンナビノイド)の1つ1つであり、この成分を含んだ医薬品も基本は医療従事者の監視下のもと使用されます。

日本における医療大麻の現状とは

上記で記述したように日本では大麻草は嗜好品としてはもちろん、医療での使用やその為の研究も厳しく規制されています。厚生労働省の見解では、大麻由来のカンナビノイドに似せた、合成カンナビノイドは麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として扱われる為、研究は可能であるとしています。大麻由来のカンナビノイドに至っては、2019年3月19日に行われた「第198回 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会」での国会会議録に下記のような発言が記録されています(海外で承認されている大麻由来の難治性てんかん治療薬、エピディオレックスについて)。

「137 森和彦

(前略)...我が国の大麻取締法第四条第一項には、何人も大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のために交付する行為や施用を受ける行為をしてはならないという規定がございます。また、大麻を研究する目的で使用する免許を都道府県知事から受けた者、すなわち大麻研究者が厚生労働大臣の許可を受けた場合を除きまして、大麻を輸入してはならないという規定がございます。したがいまして、現行法の下では、御指摘の医薬品が大麻から製造されている場合には、当該医薬品を国内において患者に施用することはできず、また、施用する目的で輸入することもできないということでございます。」

「138 秋野公造

そうなりますと、医薬品として駄目ということであれば、治験として用いる、これはいかがでしょうか。」

「139 森和彦

(前略)...大麻研究者である医師の下で、厚生労働大臣の許可を受けて輸入したエピディオレックスを治験の対象とされる薬物として国内の患者さんに用いるということは可能であると考えます。

 なお、この治験は、適切な実施計画に基づきまして、その計画で定められた対象の患者さんに限って実施されるということが必要でございますし、実施計画が届けられた際には、その内容をしっかりと確認する必要があるというふうに考えてございます。」

この様に、政府の見解では治験として大麻由来の医薬品を使用することは可能であるといえそうです。また2019年9月5日には、治験だけでなく医薬品としても承認されるよう、患者団体が厚生労働大臣へエピディオレックス承認に関する要望書を提出しているようです。

THCとCBDの違いとは

大麻から抽出されるカンナビノイドは数多く存在しますが、主にテトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール(CBD)という成分を中心に医薬品として使用されています。この2つの成分は構造も異なっており、体内での作用も変わってきます。特にカンナビジオール(CBD)はテトラヒドロカンナビノール(THC)とは異なり、大麻という言葉から連想されるような陶酔性や精神への副作用(いわゆるハイな気分になるような作用)は生じないとされています。

詳しく説明すると、CBDやTHCなどのカンナビノイドはCB1やCB2といったカンナビノイド受容体に作用すると言われています。CB1受容体は主に中枢神経内、CB2受容体は末梢組織に豊富に存在し、THCはCB1やCB2の両方の受容体に親和性を有します。そして、CBDはCB2受容体に対してより選択的な親和性を有しています。この違いが中枢への(精神への)副作用の有無としてあらわれていると言えます。

また実際にTHC含有が高く、CBD含有が低い大麻株は、両成分が同程度含有された株よりも精神系の副作用が多いとされており、そこに目をつけた興味深い論文が発表されました。2019年10月のUniversity of Western Ontarioでの研究によると、THCが精神医学的影響を引き起こす細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)の活性化をCBDが抑制している可能性があるようです。

この様に、同じ大麻から抽出される成分であっても、その作用の仕方は大きく変わってきます。

医療大麻の成分と使うことのメリット 

世界各国で使用されている医療大麻の成分は、大きく分けて合成カンナビノイドと大麻由来のカンナビノイドに分かれます。欧米で認可されている成分を例に挙げると、前者にはナビロン(nabilone)とドロナビノール(dronabinol)、後者にはナビキシモルス(THCとCBDの合剤)とカンナビジオール(CBD)が含まれています。これらを成分とする薬の適応を見てみると、

  • ナビロン:抗がん剤使用時の吐き気や嘔吐の抑制(従来の制吐剤では効果不良であった場合)
  • ドロナビノール:AIDS患者での食欲不振、体重減少。抗がん剤使用時の吐き気や嘔吐の抑制(従来の制吐剤では効果不良であった場合)
  • ナビキシモルス:多発性硬化症における痙縮(従来の抗痙縮薬では効果不良であった場合)
  • カンナビジオール:小児の難治性てんかん(レノックス・ガストー症候群やドラべ症候群)における、てんかん発作の抑制

この様に、たとえ医療大麻が治療薬として第一選択にならないとしても、上記の症状や病気に悩まされている方々にとって、治療薬の選択肢が増えることはメリットの1つだと言えます。

どのような病気に効果があるとされているのか

上記で示したように、大麻成分(合成カンナビノイドも含む)は制吐剤や抗痙縮薬、抗てんかん薬として効果を出しており、医療用医薬品として認可されています。

例えばカンナビジオールについての研究成果を調べてみると、Lattanzi, Simona等(2018年)のメタアナリシス “Efficacy and Safety of Cannabidiol in Epilepsy: A Systematic Review and Meta-Analysis” では、レノックス・ガストー症候群やドラベ症候群といった難治性てんかん患者550人を含む4つの試験が調査されています。この調査で注目しているのは、毎月の発作頻度が減少する割合であり、結果としてカンナビジオール20 mg投与群では37.2%、プラセボ薬(偽薬)投与群では21.2%の患者で少なくとも50%の発作減少が起きたと報告されています(リスク比1.76、95%CI 1.07-2.88;p = 0.025)。一般的にp値が0.05以下であれば統計的に有意な結果であるとします、よってカンナビジオールの投与は発作抑制に効果があると言えそうです。副作用に関しては、カンナビジオール投与群では87.9%、プラセボ群では72.2%で起こったようです(リスク比1.22、95%CI 1.11-1.33;p < 0.001)。さらに約5倍の確立で副作用による服用の中断がおきました (リスク比 5.59, 95% CI 1.87–16.73; p = 0.002) 。ただし、発現した副作用は眠気や食欲不振、下痢など既存の治療薬と比べてひどいわけではなさそうです。

その他にも、カンナビノイドはパーキンソン病やその治療中に起こるといわれる運動機能症状に効果があることが示唆されています。2019年5月に Carsten Buhmann等が発表した論文 “Evidence for the use of cannabinoids in Parkinson’s disease”では、 カンナビノイドとパーキンソン病に関する様々な文献が調査されています。この論文は、パーキンソン病では大脳基底核に高濃度のカンナビノイド受容体が見つかってることや、カンナビノイドが脳内のドーパミンの過剰な働きを調節することで「レボドパ誘発性ジスキネジア」が改善するという可能性に注目しています。実際に2001年の研究では、ナビロンが「レボドパ誘発性ジスキネジア」を軽減させたという報告があるようです。

しかし一方で、 Buhmann等は統計学的に有意差を示し、エビデンスレベルの高い無作為盲検試験等の臨床研究はほとんど行われていないことを指摘しています。パーキンソン病治療中の方々にとっては、運動障害は生活の質を左右する大きな問題です。今後研究が進み、効果と安全性が認められるようになると良いと思います。

さらに、カンナビノイドはADHDやPTSDによる不眠、統合失調症等にも効果があることが様々な論文で示唆されています。なかには統計的に有意差を示せていないものや、バイアスが多く存在しそうな論文もありますが、確実に医療用大麻(カンナビノイド)の研究は日々進んでいると言えます。

参考文献

厚生労働省 「今、大麻が危ない!」

国会議事録検索システム 「第198回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 平成31年3月19日」

日本てんかん協会「エピディオレックス® CBD :カンナビジオール医薬品 承認に関する 要望書」

National Institute on Drug Abuse “Marijuana as Medicine”

European Monitoring Center for Drugs and Drug Addiction “Medical use of cannabis and cannabinoids”

EMC “Sativex Oromucosal Spray”

Simona Lattanzi, Francesco Brigo, Eugen Trinka, Gaetano Zaccara, Claudia Cagnetti,Cinzia Del Giovane et al. “Efficacy and Safety of Cannabidiol in Epilepsy: A Systematic Review and Meta‑Analysis”

Beedham W, Sbai M, Allison I, Coary R, Shipway D. “Cannabinoids in the Older Person: A Literature Review.”

Carsten Buhmann, Tina Mainka, Georg Ebersbach, Florin Gandor.  “Evidence for the use of cannabinoids in Parkinson’s disease”

FDA “EPIDIOLEX (cannabidiol) oral solution”

FDA  “CESAMET™ (nabilone) Capsules – FDA”

FDA “MARINOL (dronabinol) capsules, for oral use”

Roger Hudson, Justine Renard, Christopher Norris, Walter J. Rushlow, Steven R. “Laviolette. Cannabidiol Counteracts the Psychotropic Side-Effects of Δ-9-Tetrahydrocannabinol in the Ventral Hippocampus Through Bi-Directional Control of ERK1-2 Phosphorylation.”

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