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先日、40代男性の患者さんで、20年ほど前に受けたレーシック手術後の後遺症により、光過敏、眼精疲労、頭痛、不眠といった症状に悩まれており、大麻治療を希望され、CLINICを受診されました。

眼科を受診しても、眼圧やその他の検査では明らかな異常初見がなく、点眼などで治療を行ったけれども改善がなく、日常生活にも支障がでてきている状態でした。

レーシック手術は角膜を削ることによって視力回復の効果を期待する物理的な治療であること、大麻治療には眼圧を下げる効果がありますが、眼圧も異常がないことから、患者さんの症状を改善する保証はないものの、可能性があるなら治療を受けたいという希望がありましたので、大麻治療を行いました。

 

THCの摂取量を1日約10mg程度を目安に治療を開始しました。

医療大麻オイルを使用し、夕食後の舌下投与を行いました。THCの1日摂取量は10mg程度と低容量でスタートし、1週間10mg程度で治療を行い、症状の改善や副作用がなければ増量していく予定でしたが、10mg程度で効果を実感しており、増量なく治療を継続することができました。

 

症状の度合いを100点満点で評価してもらいました。接種直後より、

眼痛:接種前100→接種後5〜10

眼精疲労:接種前100→接種後5〜10

頭痛:接種前100→接種後5〜10

光過敏:接種前100→接種後30

と大幅な症状の改善を認め、症状のぶり返しや眼の痛み、不快感もなく過ごせたようでした。

 

大麻治療の代表的な副作用として、口渇感、ふらつき、めまい、動悸などが挙げられます。

治療を受けられた患者さんは、日中の眠気や気だるさを訴えられていましたが、CBD優位のお茶を日中に飲んだり、柑橘系のジュースを飲んだり、運動やシャワーを浴びたりすることで副作用を軽減でき、治療を継続することができました。

治療開始直後に精神作用の影響による気分の落ち込みがありましたが、徐々に薄れており、問題はありませんでした。

オイルの滴下の調整に失敗し、意図せず摂取量が多くなってしまった日に動悸を認めたとのことですが、時間経過とともに消失しました。

安全に大麻治療を受けることができ、症状の改善もあったことから患者さんは非常に満足されて日本に戻られました。

日本に戻ってから1ヶ月程度で症状がぶり返してきており、50/100程度まで戻ってきているとのことでした。

非常に残念ではありますが、症状がぶり返してきたことからみても患者さんにとっては大麻治療の効果があったと思われます。今後も症状が治療前の状態に戻ってしまうのであれば、大麻治療を受けられるタイへの移住を本格的に検討しているとおっしゃっていました。

日本では大麻治療を行うことができないため、カンナビノイドの効果を期待してCBN優位のCBDオイルの摂取を薦めました。

 

大麻には眼圧を下げる効果は医学的にも証明されていますが、レーシック後の後遺症に対して症状を緩和する効果があるかはいまだはっきりしておりません。

リラックス作用により症状が改善したと考察しますが、日本で過去にCBD製品を試したことがあり、その時は効果がまったくなかったとのことで、やはりTHCの作用が症状改善につながったのではないかと思われます。慢性疼痛と思えばしっくりはくるのですが。

大麻治療後の治療を日本でどのように行なっていくか課題はありますが、なにより患者さんが満足して笑顔で日本に戻られたことが嬉しいです。

 

病気で悩む患者さんにとって、大麻治療が1つの選択肢になればと思っています。

 

 

 

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