สวัสดีคัพ
エアコンの風がなんともない体になりたいひっきー先生です。
電子機器に囲まれた便利な現代社会、パソコン1台で仕事もできちゃう令和なこの時代、屋内で生活が完結してしまって一日中外に出ない日もあるのではないでしょうか。
そんな自分も、時代の波にのってここタイで日本語のコラムを書くことができていますし、パソコン仕事に熱中しすぎちゃうと調べもののついでにYoutubeをみてしまいます。流れてきた「イチロー2001」というドキュメンタリーをつい部屋を暗くして観てしまいました、2時間の大作でした。
日光にあたらない、画面をみてブルーライト漬けの生活を送り続けてしまうと、体の中で、「幸せホルモン」といわれる神経伝達物質のセロトニンが分泌されにくくなり、身体的にも精神的に不安定になりやすくなり、どんどん生物学的に落ちていきます。
セロトニンは「睡眠ホルモン」であるメラトニンの原料でもあり、メラトニンは季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムといった、概日リズムを調整しています。
セロトニンが不足するとメラトニンがも不足するので、質の良い睡眠をとることができなくなり、睡眠障害、不眠症へと近づいていきます。
春と秋がどんどん短くなっていく日本はメラトニンが足りてないのかもしれません。
セロトニンをどばどばっと分泌させるには、
1運動をする
2タンパク質をしっかりと摂る
3外に出て陽の光を浴びる
この3つの習慣に尽きますし、もっとも理想な状態はセロトニンがもう自然に出るような状態になることで、土台を底上げするのは1番大変で時間がかかります。
日本の不眠症治療のガイドラインでは、治療法の第一選択は睡眠衛生指導になっていますし、この3つの習慣は当然ですが指導項目になっています。
睡眠薬の中には、このメラトニンに注目したメラトニン受容体作動薬があり、副作用が少なく依存性がないということでよく処方されているお薬の1つになります。
ロゼレムベア、かわいいです。
唯一と言ってもいいデメリットとして、即効性がなく、直接的に睡眠を導入する働きは強くないので、数週間かけて眠りの状態を調整していく、そんなお薬になります。
患者さんは、「できるだけすぐに眠れるようになって、副作用もなくて、翌日にもちこさない」そんなお薬はないかと切実に願っています。
医療人も同じ気持ちです。
古より、人間界では、先人たちから、「大麻吸うとよく眠れるんだよね」と言い伝えのように言われています。
近年、大麻成分が200もの病気や症状に効果があることが医学的にもわかっています。420近くはあるのかもしれません。
医療大麻が、たった2週間摂取するだけで体内のメラトニンを増やし、重篤な副作用もなく睡眠障害を改善することがわかりました。
論文を紹介していきましょう。
2022年に医学雑誌「journal of Sleep Resarch」で発表された、オーストラリアで行われた前向き二重盲検化無作為試験になります。
「29名の不眠症の患者さんに医療大麻を投与したら、重篤な副作用もなく、不眠症を改善しました」と報告されています。
【患者背景】
自己申告による、不眠症重症度指数の点数が14点以上の慢性不眠症を訴える29名の患者さんを対象としています。
癌、不安定心疾患、精神病性障害、統合失調症、躁病エピソード、発作性障害、緑内障、尿閉、妊娠と診断された患者さんや、三環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬などの抗うつ薬を服用している患者さんはご遠慮となっています。
治験の参加者は他の睡眠薬を内服しないよう、また運転をしないように指示をしています。
【投与製剤 投与方法】
今回使用する大麻製剤は、THC 10mg/ml、CBD15mg/mlをMCTオイルに混ぜたオイル製剤でEntoura社製のものを使用しています。
Entouraはオーストラリアのヘルスケア、医療大麻製剤を扱っている会社です。
プラセボに用いたオイルは、MCTオイルにフレーバーを混ぜたものを使用しています。
無作為に医療大麻製剤群とプラセボ群に分けて、投与前1週間の観察期間を経て、2週間それぞれ投与し、1週間の休薬期間をあけて、さらに2週間投与して計6週間の経過で評価しています。
投与量に関してですが、1日目に0.2ml(THC 2mg+CBD3mg)から開始し、最大1.5ml(THC 15mg+CBD22.5mg)まで毎日0.1mlずつ漸増させていき、副作用の症状が強くでた場合は、漸増を中止するよう調整して投与されました。
【評価方法】
・睡眠日誌の記載による自覚症状の変化はないか
・医療大麻の安全性はどうか
・不眠症重症度指数の変化はどうか
・唾液中のメラトニン濃度の変化はどうか
・Fitbitを用いた評価はどうか
不眠症重症度指数(ISI)
~7点は不眠症なし 8~14点は不眠前段階 15~21は中等度不眠症 22~は重度不眠
Google社が出している健康管理トラッカー
心拍数や血中酸素飽和濃度はもちろん、REM睡眠やノンREM睡眠といった睡眠サイクルなども測定できる、健康管理に優れたトラッカー。
アプリと連動して非常に便利、健康機器もここまで進化したのかとビックリです。
もし自分が高齢者施設の管理人だったら、入居者全員につけてもらいたいですね。
睡眠日誌(国立精神・神経医療センターHPより)
睡眠日誌は、普段の睡眠の長さや規則性といった睡眠状態を把握するのに有用。
自分の認識と実際の睡眠状態にはしばしば乖離がみられるが、睡眠日誌を用いてチェックすることで、自分の睡眠状態を正確に把握したり、自覚していなかった睡眠の特徴を発見できる。
唾液中のメラトニン濃度の測定は、オーストラリアにあるバイオマーカなどの検査を行っているNutriPATH社のキットを使用。
唾液中のメラトニンとコルチゾールを測定することで睡眠状態を把握することができます。
【結果】
・安全性や副作用について
29名の患者さんのうち、4名がなにも副作用はありませんでした。
副作用を訴えた25名が、口渇、下痢、吐き気、めまいといった大麻製剤に典型的な副作用を認めましたが、口渇以外は一過性のものであった。
半数の患者さんが2週間かけて、最大摂取量の1.5mlまで漸増することができたが、20%程度は0.4~0.6mlで漸増するのを止めた。
症状が強い副作用は2名に認められ、頻脈と極度のめまいで、減量することで症状は改善した模様。
1名を除くすべての患者さんが不眠症の治療として医療大麻製剤を受け入れ、24名が医療大麻の継続処方を希望したとのこと。
6名のうち、1名は副作用により継続処方は希望しなかったが、他の5名は仕事や車の運転の制限といった副作用以外の理由でした。
医療大麻に典型的な副作用は認めていますが、どれも一過性で重篤ではないため、安全に治療を受けることができています。
実際に突然の頻脈を訴えられる患者さんもいます。
タイではライムジュースやオレンジジュースを飲んだり、ヤードムで副作用の症状をおさえることが多いです。
もし副作用があった場合は、半分に減量したり、CBDオイルを追加するのも1つですが、基本的には減量します。
副作用の出現をできるだけ防ぐためには、摂取量を徐々に増やしていき、1日THCの摂取量を20mg程度にまでとどめておくことが重要で、副作用がなく効果が実感できる自分に合った適切な摂取量を把握することがまず第一歩となります。
・唾液中のメラトニン濃度について
医療大麻製剤による治療をうけた群は、メラトニンの値が30%増加したのに対して、プラセボ群は20%減少しており、メラトニンをすぐに上昇させる可能性が示唆されます。
医療大麻はメラトニンの不足による睡眠障害をすぐに改善する可能性がありそうです。
日本では、睡眠薬の1つにメラトニン受容体作動薬がありますが、即効性がありません。
ISSスコアについて
ISSスコアで治療前に79%~89%の患者さんが中等度~重度の不眠症を訴えていたが、治療後には65%もの患者さんがスコア上では不眠を認めなくなり、ISSスコアの改善は統計学的にも有意差をもって明らかでした。
さらにISSスコアを詳しく分析すると、入眠が早く、夜間の目覚めが少なく、睡眠時間が長いなど、睡眠がより改善する傾向がみられています。
睡眠への満足度が高く、苦痛も少なくなり、日常生活機能への満足度が大幅に改善しています。
FItbitによる解析結果では
医療大麻製剤による治療を受けた群は、睡眠時間が約30分ほど延び、睡眠段階でみると、ノンREM睡眠のかるい段階、N1やN2にあたる時間が約20分ほど延びています。
REM睡眠に関しても、約5分ほど延びています。
~まとめ~
医療大麻が不眠症を改善し、また体内でメラトニンの分泌を促していることがわかりました。
治療効果を実感した患者さんのほとんどが治療継続を希望しているのが喜ばしいですね。
ストレスでぱんぱんに満ちた現代社会、不眠で悩まれている患者さんは右肩上がりで増えています。
ストレスからうまく距離をとることができずに、睡眠薬の治療を受けながら日々を過ごされている患者さんも多くいると思います。
不眠症の治療は、生活習慣を改善することやストレスから距離を置くことが最も大事です。
ここタイでは、太陽の光が燦々と輝くリラックスした環境で大麻治療を受けることができます。
些細なことでもかまいません、ご相談ください。