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多発性硬化症

多発性硬化症の原因は何?

多発性硬化症の原因は正確には解明されていません。

一つの仮説として存在しているのが、若いうちにヘルペス ウィルスやレトロウィルスなどのウィルスに感染したり、何らかの物質に触れることがスイッチになって、免疫系が暴走して神経を攻撃するというものがあります。

さらに、遺伝や気候、喫煙などの環境によっても多発性硬化症を発症リスクを上げることがわかっています。

特定の遺伝子タイプを持っている人は多発性硬化症を発症しやすくなる傾向にあり、親や兄弟、姉妹が多発性硬化症を発症している場合にも発症リスクが数倍にもなると言われています。

また、15歳までに住んでいた地域によって多発性硬化症の発症率に違いがあり、熱帯地帯で育った人の方が寒冷地域に住んでいる方よりも発症率が低い傾向です。成人になってからでは生活する気候によって発症リスクは変化しないようです。

暖かい地域で育った人の発症率が下がる原因としては、日光をよく浴びることでビタミンDが多く産生されるためとも言われています。実際に米国で行われた研究では、多発性硬化症の患者の血液を調べてみるとビタミンDが低い値を示しているという報告もありますが、ビタミンDがどのようにして多発性硬化症を予防するのかは解明されていません。

その他にも、喫煙も多発性硬化症の発症リスクを上げます。理由については不明ではあるのですが、喫煙によって発症リスクが1.5倍も上がると言われています。

多発性硬化症の原因として考えられている説は様々あり、正確にわかっていないことの方が多いです。

多発性硬化症の初期症状と後期症状

多発性硬化症の症状は神経の障害を受ける部位によって症状が異なってきます。

感覚情報伝える神経が障害されると感覚の異常を起こし、筋肉を動かす神経が障害されると運動障害が起こります。

初期症状では神経の障害も進行していないことが多いので漠然とした症状が起ることが多いです。

  • 手足や顔面などの痺れ、痛み、かゆみ、触覚の低下など
  • 手足の力が落ちる、こわばる
  • 視力の異常

目の神経が障害されると視界がぼやけたり、かすんだりするだけでなく目を動かして痛みが生じることもあります。

後期症状になると神経の障害も進むので、痛みの伴う痙攣や自分ではコントロールできない筋肉の収縮が発生して思うように体を動かすことも難しくなってきます。重症化すると歩行器などを使って歩くこともできなくなり、車椅子での生活をしなければならなくなります。

麻痺なども起こすので、運動障害だけでなく尿失禁や便失禁など排泄もコントロールできなくなるので本人だけでなく家族にも負担は大きいです。また、精神面でも不安定になり、抑うつ症状を起こす方もいるので精神的なサポートも重要になります。

多発性硬化症の発症パターン

多発性硬化症はほとんどの場合では再発と症状が落ち着いている寛解状態を繰り返しながら症状が進行していきますが、いくつかの発症パターンが存在しています。

  • 再発寛解型:再発進行型は、症状が悪化する期間と症状が緩和する期間が交互に現れるパターンで、症状が落ち着く期間は数ヶ月から数年続きます。
  • 一次性進行型:一次性進行型では再発や寛解という状態もなく徐々に症状が進行していきます。
  • 二次性進行型:一次性進行型とは違い最初のうちは再発と寛解を繰り返しますが、しばらくすると緩やかな症状の進行に変わっていきます。
  • 進行再発型:症状は徐々に進行するのですが、いきなり悪化してしまいます。

多発性硬化症の進行は人によって様々であり、年に3、4回再発する人もいれば数年は落ち着いている人もいます。治療としては出来るだけ再発をしないようにするための治療が行われます。

多発性硬化症に今日からできる対策はある?

風邪などの感染で再発のリスクが上がると言われているので、健康な人よりも気をつける必要があります。風邪を予防するために人ごみを行かないようにする、手洗いうがいをしっかりする、バランスのいい食事、適切な睡眠時間、適度な運動を心がけてください。

ストレッチやウォーキングなどの適度な運動には筋力の低下などを予防するだけでなく、ストレスの発散にも効果があります。ストレスや過度の疲れは再発の原因にもなりますので規則正しい生活は重要です。

その他にも、喫煙によって多発性硬化症の発症リスクを上げるため喫煙者である場合には禁煙に挑戦してみるのがいいでしょう。

身体障害がでている場合には、症状によっては医師の判断で作業療法士、理学療法士、言語療法士からのリハビリを受けることができます。リハビリを受けることで日常生活を普通に送れる可能性もあるので主治医に相談した方がいいでしょう。

再発予防のために薬物治療を受けることがあります。治療薬によっては注意点が異なり、日常生活で気をつける点も存在しているので主治医や薬剤師に相談されてみてください。

参考文献

多発性硬化症(MS)-MSDマニュアル家庭版

MSとはどんな病気でしょう-(独)国立精神・神経医療研究センター 神経研究所

多発性硬化症の病因と病態-Jstage

多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)-難病情報センター

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